大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ラ)181号 決定

子の親権者を指定する審判事件については、家事審判法第八条に基く家事審判規則第七十条において準用される同規則第六十条により子の住所地の家庭裁判所の管轄に属するところ、記録によれば、抗告人と相手方との間の長男正和、二男正信(いずれも未成年者)が本件審判申立当時から現在に至るまで引き続き母たる相手方の住所地である滋賀県長浜市国友町において相手方と生活を共にしていることは抗告人の主張自体に照して明らかであるから、仮にそれ以前において右二抗告人方にあつて東京の学校に通学しており相手方が擅に右二児を連れ去つた事実があり、又現に右二児が東京の学校に在籍している事実があつても、右二児の住所は他に特段の反証のない限り母たる相手方の住所地にあるものといわなければならない。従つて本件審判事件は前記滋賀県長浜市を管轄する大津家庭裁判所長浜支部の管轄に属し、原裁判所の管轄に属しないことが明らかであるから、前記規則第四条第一項本文により本件は右管轄家庭裁判所に移送せらるべきものである。

尤も同項但書によれば、その管轄に属しない事件について申立を受けた家庭裁判所は事件を処理するため特に必要があると認めるときはみずから処理することができる旨を定めているが、本件審判申立書には「申立人と相手方との協議離婚は東京家庭裁判所家事審判部調停係で決定しましたが、長男と二男の親権者が決定しませんから、親権者の指定を御願いします」と記載されているけれども、記録中の抗告人の戸籍謄本の記載並びに抗告人提出の昭和二十九年四月八日附審判申立補充書、本件抗告理由書の各記載によれば、抗告人と相手方とは未だ戸籍上夫婦であつて、既に離婚の協議が調つたのではない疑が多分にあり、記録上今直ちに子の親権者指定のみに関する本件審判申立に対して前記規則第四条第一項但書を適用して、特に管轄家庭裁判所でない原裁判所においてみずからこれを処理し、事件につき終局的審判をなす必要を認むべき資料はない。

なお、家事審判事件の管轄に関しては家事審判規則に特別の定めがあるから、家事審判法第七条の規定によつて非訟事件手続法第三条の規定は準用されないものと解すべきである。

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